本屋さんで表紙に一目ぼれした本です。
内容も絵のように温かく穏やかです。
でも、登場人物たち一人一人抱えている悩みはそれなりにあります。
著者が「本の雰囲気を「かもめ食堂」や「リトル・フォレスト」のようにしたかった」と言う説明がとてもしっくり来る雰囲気の小説です。
++++
架空の町ヒュナムにある「ヒュナム洞書店」が舞台です。
書店の中にはカフェがあり、バリスタのミンジュンとオーナーのヨンジュで運営しています。
書店はどこの国でも経営が厳しいのですが、生き残るために自分の店が「どうあるべきか」をヨンジュはずっと考え探しています。
ヨンジュは、「本は発見される必要がある」と言います。
「これは良い本だ」と入荷しても何年も売れず、ある時テレビで著名な人が紹介することによって突然人気になりベストセラーになる。
そういった埋もれてる本が陽に当たる機会が必要なんだと言います。
ヨンジュは、自分の店には「ベストセラーは置かない」と決めます。
ただ、売れ始めた本と同じテーマの本を置くことにします。
訪れる人がいろんな本に触れることをヨンジュは望んでいます。
++++
書店って、本を売るだけじゃなくいろんなイベントをしてるんですね。
この本の中でも作家のトークイベントや読書会をしていて楽しそうです。
私は、よく「有隣堂の知らない世界」をyoutubeで見るのですが、本の世界って本当知らないことばかりだなと思います。
売れなくなった本の売り方とか、賞をとる小説の書き方戦略とか
書店が抱える悩みってどこの国も同じで、店の特色や強みを持てるかが大事なんですね。
登場人物の名前がみんな似通ってるので、誰がどういう状態?って混乱しましたが(爆)
読み終わるとたくさんの読者の方が感じる「自分の街にあれば行ってみたい」そんな気分になる本でした。