この小説めちゃくちゃ面白かった。
なんとも言えない「つぼ」満載だった。
主人公:新平・・・89歳
妻(英子)・・・88歳
長男(孝史)・・・52歳、独身、高校中退後引きこもり
次男(健二)・・・?歳、独身、自称:長女、フラワーアーティスト
三男(雄三)・・・48歳、独身、グラドルとの撮影会などの事業をしている火の車
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高齢な「じいさん」は、時々フラっと散歩に行く。
その散歩を高齢な妻は、浮気相手の冨子に会いに行くんだと疑わない。
じいさんの趣味は、昭和のエロ集めって言うのが妙におかしいし、90歳近いじいさんの浮気を疑わないばぁさんの執着もすごい。
全体的にめちゃめちゃな家族のようで、「多分、家族ってこんな感じ」って思わせるまとまりがなんとも言えない。
じいさんが「ばあさん」と呼びかけると、ばぁさんは絶対、「なに、じいさん」と絶対「あなた」や名前で返さない夫婦の意地の張り合いなんかも面白い。
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題名の通り、じいさんが毎日でかける散歩と過去の出来事と現在の家庭内事情の3つで話が回っていきます。
じいさんがお出かけする場所が実在する場所なのか、チョイスする場所がなかなか良い。
食べる物も90歳と思えない食欲ぶりと、昭和漂う喫茶店の感じも良い。
特に、結末ある話じゃないんだけど、他人の日常をのぞき見しているようなそんな感じの本です。