日本のアマプラ作品て、なんでこんなに面白くないんだろう。
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以前、評価がボロクソだった三谷幸喜さん脚本の「だれかが見ている」を紹介しました。
私は、この面白くなさが逆にツボで面白かったのですが、今回見た深田恭子主演の「A2Z」もたまらなく面白くなかったです。(えっ?)
スタイリッシュに作り過ぎてドラマを通り越してミュージックビデオのよう。
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37歳の澤野夏美はどこにもいないの。
セリフの語尾や喋る口元がずっと深キョンなの。
言ってないけど、セリフの語尾から「もん」が聞こえる。
「言ったもん」「知らないもん」「わかんないもん」
綾瀬はるかだったらどうかな、って思ったけど綾瀬さんも結構綾瀬さんだしな。
じゃ石原さとみならどうかな、って思ったけど結局はホリプロだしな。
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田中圭は田中圭だったけど、田中圭は「国民の不倫相手」だから←
こういう旦那役合ってる。
なんなら深キョンと田中圭の夫婦関係は、私はめっちゃ好きです。
だから何度も見返せるのかも。
自由な夫婦関係のようで、夫婦だから縛りはあるけど、ちゃんと整ってる夫婦関係が好きです。
二人にしか分からない関係が成り立ってるのが、この作品の(夫婦)の見どころだと思います。
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原作は、山田詠美さんの小説です。
小説も読んだのですが、ドラマは小説に忠実です。
山田さんの「スタイリッシュな」世界観を再現していて、雰囲気がちょっと韓国ドラマの「ボーイフレンド」に似ています。
小説の中では、もっとスタイリッシュさやスノビッシュ感を出すために、商品名や店名が出てきます。
そして、「分かるわよ。女の本音はそれだな、言わないけど」という様なセリフもチラホラ出てきます。
親友今日子に夏美は思う。
「彼女が、女同士の安い友情とは無縁だから。(省略)問題を抱えた時に、本当に助けになるのは、うまい飯、上等な酒、乾いた笑いに、辛辣な発言。それらを提供してくれる綺麗な女だ。」
最後の「綺麗な女」これ以上の女の本音はない。
人は中身ですよ、そうですよ。
でも、綺麗な女の説得力は強い。
今日子の前では、夏美の本音は炸裂する。
年下の恋人ができて夏美の肌の手入れは入念になる。
それに気づいた今日子の視線に対して夏美は思う。
「私は、男のために自分で手入れした体が好きなのだ。当てのない自分磨きなんてものは、女性向け雑誌で微笑んでいるいい女とやらにまかせておけば良い。」
好っきゃわ~(爆)
そう、目的のない自分磨きは輝かない。
そして、続かない。
あっという間にカッサカサに。
男のためにどーたらこーたらするのは嫌いだけど、好きな男のためにどーたらこーたらするのは好きですよ。
この「磨き」の話で思い出したのが、先日ご紹介した内館牧子さんの高齢者小説シリーズの「すぐ死ぬんだから 」という年相応のばあさんになりたくない80近い主人公の「老化に磨きをかけてどうする」という言葉を思い出した。
不倫妻と高齢妻の共通話題「磨き」
山田詠美と内館牧子がまさか同じようなテーマで絡みがあるとは書いてて驚く。
「不倫」と言うワードも共通して出てきます。
でも、内館さんのは家庭臭のある不倫で、山田さんは都会的な不倫です。
不倫なんてどれも一緒だろって感じなのですが、嫌な臭みがないのは作家のなせる業か。
面白くないドラマを深掘ると、面白いとこに行きつく。