◆社会の変え方 日本の政治をあきらめてしまっていたすべてのひとへ [ 泉 房穂 ]
ご存じ元明石市長の泉さんの著書です。
神戸市民なので近隣の明石の変化は耳にしていたのですが、実際に泉さんがどんなことをしたのかは知りませんでした。
泉さんが地方の小さな街をどのように変えていったのか、どうしてそこまでできたのかがよく分かる1冊です。
政治家になる人は「生い立ち」が関係している場合が多いように感じます。
子どもに障害があったから、家が貧しかったから、代々政治家の家だったからなど様々だと思いますが、泉さんは障害のある弟を持ち理不尽な経験から「冷たい社会」を変えたいと思います。
幼いころから勉強も運動もできた泉さんは母親に「あんたは何で弟の分まで持って生まれてきたの」と言われ「弟に半分返しなさい」と言われます。
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本を読んでいるとお金の使い方や発想の転換に驚かされます。
ここでいう「お金」とは「税金」のことなのですが、泉さんは市民からは先にお金をもらっている(納税)ので、それを「ばら撒く」のではなく「無料」にするのが妥当だと言います。
もらった物をまた返す(ばら撒く)のではなく、もらった物を無料で使ってもらう発想です。
泉さんの成功は徹底した「冷たい社会を変えたい」にあり、これ以外にない気がします。
そして、市民にはとても良い市長でも一緒に働く職員や議員にとっては「とんでもない市長」になるなと読んでいて感じました。
徹底的に市民の味方なので、損をする業者や振り回される職員たちの怒りが聞こえてくるようです。
国民にとって得なことは、政治家にとっては「都合の悪いこと」なのだと読んでいて感じます。
だから、社会が良くならないんだと小さな地方都市明石が教えてくれた気がします。
いろんなことがあり泉さんは政治家を引退されますが、まだ60歳なんですね。
政治家にしたら若い方ですよね。
本当、残念ですが泉さんが実行して成功したものはきっとどこかの街の同じ志を持つ政治家が引き継いでくれるでしょう。
この世界で一番大事な「事例」を残したんですから。